ウイスキーは糖質が少ないと聞きますが、ブランデーはどうなのでしょうか。
芳醇で甘い香りから、糖質やカロリーが高いのではと不安に思う方もいるかもしれません。
この記事では、ブランデーのカロリーと糖質に関する疑問に、データを用いてお答えします。
ブランデーを罪悪感なく楽しむための知識を身につけましょう。
主要な酒類のカロリー・糖質を一覧比較|ブランデーの位置付け

まず、他のお酒とブランデーのカロリー・糖質を比較します。
文部科学省の「日本食品標準成分表」を基に、100mlあたりの数値を見てみましょう。
| 酒類 | カロリー | 炭水化物 | アルコール度数 (目安) |
|---|---|---|---|
| ブランデー | 237 kcal | 0.0 g | 40% |
| ウイスキー | 237 kcal | 0.0 g | 40% |
| 焼酎(甲類) | 203 kcal | 0.0 g | 35% |
| 焼酎(乙類) | 144 kcal | 0.0 g | 25% |
| 日本酒(純米酒) | 102 kcal | 3.6 g | 15% |
| ワイン(赤) | 68 kcal | 1.5 g | 12% |
| ワイン(白) | 71 kcal | 2.0 g | 12% |
| ビール(淡色) | 39 kcal | 3.1 g | 5% |
この表から、ブランデーは他の蒸留酒と同様に「糖質ゼロ」であることがわかります。
一方で、100mlあたりのカロリーは237kcalと、醸造酒に比べて高くなっています。
しかし、ブランデーを一度に100ml飲むことは稀です。
そこで、より現実的な一杯あたりの目安で比較してみましょう。
| 酒類(一杯の目安量) | カロリー | 炭水化物(糖質) |
|---|---|---|
| ブランデー (シングル 30ml) | 約 71 kcal | 0.0 g |
| ウイスキー (シングル 30ml) | 約 71 kcal | 0.0 g |
| ビール (中ジョッキ 500ml) | 約 195 kcal | 約 15.5 g |
| 日本酒 (一合 180ml) | 約 184 kcal | 約 6.5 g |
| ワイン (グラス 125ml) | 赤: 約 85 kcal 白: 約 89 kcal | 赤: 約 1.9 g 白: 約 2.5 g |
ブランデー一杯あたりのカロリーは、ビールや日本酒より大幅に低いことがわかります。
ブランデーは「糖質ゼロ」で、かつ「一杯あたりのカロリーを管理しやすいお酒」と言えるのです。
ブランデーのカロリーは高い?数値の正しい見方と本質

ブランデーは糖質ゼロで、一杯あたりのカロリーは低いことをご理解いただけたかと思います。
この章では、カロリー数値の本質をさらに深掘りし、健康を考える上で重要なポイントを解説します。
カロリーの内訳はほぼアルコール由来
ブランデーのカロリーのほとんどは「純アルコール」に由来します。
アルコールは1gあたり約7.1kcalのエネルギーを持ちます。
これを基にアルコール度数40%のブランデー100mlのカロリーを計算すると、食品成分表の数値(237kcal)に非常に近い約227kcalとなります。
- 純アルコール量: 100ml × 40% = 40ml
- グラムに換算: 40ml × 0.8g/ml = 32g
- カロリー計算: 32g × 7.1kcal/g = 227.2kcal
このことから、ブランデーのカロリーは純アルコールによるもので、糖分によるものではないことが証明されます。
「カロリーが高い=糖質が多い」というイメージは、ブランデーには当てはまりません。
健康管理で注目すべきは「糖質ゼロ」という事実
健康管理において、カロリーの絶対値よりも「糖質」が重要です。
糖質を摂取すると血糖値が急上昇し、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。
インスリンは血液中の糖をエネルギーとして細胞に取り込ませます。
しかし、余った糖はインスリンの働きで中性脂肪に変換され、体脂肪として蓄えられてしまいます。
糖質ゼロのブランデーは、飲んでも血糖値を急上昇させないため、インスリンの分泌を刺激するリスクが極めて低いのです。
これが、ブランデーが持つ健康上の大きなメリットです。
一杯あたりの摂取カロリーで考える重要性
100mlあたりの数値だけで「ブランデーは高カロリーだ」と判断するのは早計です。
ブランデーは時間をかけてゆっくりと味わうお酒です。
一般的な一杯であるシングル(30ml)のカロリーは約71kcalで、ご飯を軽く半膳食べるのと同程度です。
ビールを中ジョッキ2杯飲めば約390kcalですが、ブランデーをダブル(60ml)で楽しんでも約142kcalです。
ゆっくり嗜む飲み方をすれば、一晩の総摂取カロリーを低く抑えることが可能です。
蒸留酒が太りにくいと言われる3つの論理的な理由
蒸留酒がなぜ太りにくいと言われるのか、その科学的な根拠を3つの理由に分けて解説します。
理由1|製造工程で糖質が完全に除去されるから
最初の理由は、ブランデーが「蒸留酒」であるという製造プロセスにあります。
ワインやビールなどの醸造酒は、原料由来の糖質が製品の中に残ります。
一方、ブランデーはブドウで造ったワインをさらに「蒸留」します。
蒸留とは、液体を加熱して気体にし、それを冷却して再び液体に戻す操作です。
アルコールの沸点(約78℃)は水の沸点(100℃)より低く、糖質は揮発しません。
そのため、原料を加熱するとアルコールや香り成分が先に蒸気となり、糖質は元の液体に残ります。
この物理的な分離プロセスにより、ブランデーは糖質ゼロになるのです。
理由2|「エンプティカロリー」の性質を正しく理解する
「アルコールのカロリーはエンプティカロリーだから太らない」という説は、正確な理解が必要です。
「エンプティ」とは、カロリーがゼロという意味ではありません。
正しくは「カロリーはあるが、ビタミンやミネラルなどの栄養素をほとんど含まないカロリー」という意味です。
アルコールは体内で優先的に分解され、そのエネルギーの一部は熱として放出されやすい性質があります。
これが、アルコールのカロリーが蓄積されにくいと言われる理由です。
しかし、アルコールの分解中は、一緒に食べたおつまみの脂質や糖質の代謝が後回しにされます。
その結果、おつまみのエネルギーが体脂肪として蓄積されやすくなるため注意が必要です。
理由3|血糖値の変動が緩やかで脂肪を溜め込みにくいから
ブランデーが血糖値に与える影響は極めて小さいです。
食事で糖質を摂ると血糖値が上がりますが、その上昇が急激であるほどインスリンは過剰に分泌されます。
この血糖値の乱高下は「血糖値スパイク」と呼ばれ、脂肪の蓄積を促進します。
ビールや甘いカクテルは血糖値を急上昇させやすい傾向にあります。
糖質を含まないブランデーは、飲んでも血糖値を直接上昇させないため、脂肪蓄積のリスクを大幅に低減できるのです。
カロリーを意識したブランデーの健康的な楽しみ方
ブランデーのメリットを活かし、健康的に楽しむための具体的な方法をご紹介します。
飲み方編|余計なカロリーと糖質を足さない工夫
飲み方で余計なカロリーや糖質を加えないことが大切です。
おすすめは、ブランデーそのものの味わいを楽しむ飲み方です。
- ストレート
ブランデー本来の香りと味わいを堪能できます。チェイサーの水と交互に飲むと、アルコールの吸収を和らげられます。 - ロック
氷がゆっくり溶けることで、味わいがまろやかに変化します。時間の経過とともに加水され、飲みやすくなるのも特徴です。
何かで割る場合は、割り材の選択が重要です。
コーラやジュースで割ると、大量の糖質とカロリーが加算されます。
おすすめは以下の糖質ゼロの割り材です。
- 無糖の炭酸水(ソーダ)
ブランデーハイボールは爽快な喉越しで、食事にも合わせやすくなります。 - 水
トワイスアップ(ブランデーと常温の水を1:1)のように少量の水を加えると、香りが華やかに開きます。
また、どんな飲み方でもチェイサーの水を用意しましょう。
脱水症状を防ぎ、肝臓のアルコール分解を助ける効果が期待できます。
おつまみ編|風味を高める低糖質・低カロリーの選択肢
「お酒で太る」原因の多くは、一緒に食べるおつまみにあります。
ブランデーの風味を引き立てる、低糖質・低カロリーなおつまみを選びましょう。
- 素焼きのナッツ類
良質な脂質や食物繊維が豊富で、満足感を得やすいです。塩分や油分が無添加のタイプを選びましょう。 - カカオ70%以上のダークチョコレート
ブランデーとの相性は抜群です。カカオポリフェノールが豊富で、糖質も控えめです。 - ハードタイプのチーズ
タンパク質が豊富で糖質が少なく、凝縮された旨味がブランデーの味わいを引き立てます。 - 生ハムやサラミ
良質なタンパク質と脂質を摂取できます。塩分が強いので食べ過ぎには注意しましょう。 - オリーブ
オレイン酸などの良質な脂質を含み、ブランデーの香りとよく合います。
逆に、揚げ物やスナック菓子、ピザやパスタといった糖質の多い料理は、脂肪として蓄積されやすいため避けましょう。
飲む量とタイミング編|身体への負担を減らす習慣
長期的な健康維持のためには、飲む量とタイミングが重要です。
厚生労働省は「節度ある適度な飲酒量」として、1日あたりの純アルコール20g程度を推奨しています。
これをブランデー(度数40%)に換算すると約60ml(ダブル一杯分)です。
この量を目安にすることが大切です。
- 空腹時の飲酒を避ける
空腹時はアルコールの吸収が速まり、肝臓への負担が大きくなります。何か少しお腹に入れてから飲み始めましょう。 - 週に2日以上の休肝日を設ける
肝臓を休ませ、その機能を正常に保つため、週に2日はお酒を飲まない「休肝日」を設けましょう。
これらは、お酒と健康的に付き合うための基本です。
ブランデーのカロリーに関するよくある質問
まとめ|正しい知識でブランデーを心から楽しむ
今回は、ブランデーのカロリーと糖質について解説しました。
- ブランデーは「糖質ゼロ」だが、アルコール由来のカロリーはある。
- 一杯あたりのカロリーはビールや日本酒より低くコントロールしやすい。
- 太りにくい理由は「製造工程での糖質除去」「エンプティカロリー」「血糖値への影響が少ない」という科学的根拠にある。
- ストレートやソーダ割り、低糖質なおつまみを選ぶことで、より健康的に楽しめる。
- 大前提として、1日純アルコール20g程度の「適量」と「休肝日」を守ることが重要である。
正しい知識は、漠然とした不安を取り除いてくれます。
今夜はブランデーの奥深い香りと味わいを、心ゆくまで楽しんでみてはいかがでしょうか。

